相生橋

2006.11.19

伊万里市伊万里町




早朝の相生橋でしばし美術鑑賞

伊万里色絵楼閣山水文大壺
「美しい丸みをもったこの壺の形は、磁器の本場、中国で生まれました。こういう形の壺を、沈香壺といいます。
 中国では、沈香壺の中に香木をいれておき、普段は蓋をしめておきますが、来客時には蓋をあけて、芳しい香りを部屋中に漂わせて客をもてなしました。
 中国磁器に代わってヨーロッパを席巻した古伊万里磁器の壺も、この形を踏襲しました。かの地では、盛んだった金工技術を加えて、王侯の宮殿や館の内部の飾りになりました。」


伊万里色絵鸚鵡像
「岩のように節くれだった木の株にとまるオウムをかたどった磁器像です。土型で作られ、一度焼かれた素地に赤、青、緑、黄、黒などの色絵具で装飾しています。
 鋭いくちばし。脚などの表現力と全体の造形の素晴らしさは高く評価されています。
 17世紀後半には象、虎、鷹、獅子、鶏などの動物や日本の婦人や若衆をいきいきと表した大型の置物がたくさん作られました。それらはヨーロッパに渡り、王侯の宮殿や貴族の邸宅を飾りました。」


伊万里色絵菊梅文壺(燭台仕立)
「古伊万里は、ヨーロッパでは“器”としてばかりではなく、かの地で盛んだった金工技術を加えて、王侯の宮殿や館の壁面などを飾りました。この燭台仕立の壺も、そうした作品例です。
 古伊万里がヨーロッパで愛好された背景の一つは、18世紀のヨーロッパで流行した、燭台の金具の装飾にみられるような、曲線と渦巻きを多用するロコロ様式の建築や美術の風潮に、金彩や赤絵を駆使した色絵磁器の絢爛豪華さがよく調和したからです。」


伊万里色絵酒樽乗人物型注器像
「この像は、酒樽にまたがったオランダ人が右手に足付きグラスをもち、左手で酒ビンをかかげてのぞきこんでいる姿をかたどっています。実物の頭部は取外しができる栓になっており、なかに酒を入れる容器だったと思われます。
 オランダからの注文により、18世紀中ごろに有田で焼かれ輸出されたものと思われます。」