桂雲寺
「ここ桂雲寺は臨済宗の寺で、明治29年(1896)に第一回陶磁器品評会(陶器市の前身)が本堂を会場にして行われ、明治44年(1911)に有田物産陳列館が完成し会場を移すまで開かれました。境内には“御手の観音”と呼ばれる手の先だけの観音さまが祀られています。言い伝えは二つあり、“肥前陶磁史考”による江戸中期に密貿易で活躍した嬉野次郎左衛門がインドから持ち帰った玉彫が一度盗まれ、木彫で作り直したものという説と、昭和13年(1938)“神社寺院祠之調査”による鹿児島市能古見・蓮巌院の奥の院である岩谷観音にある“千手観音”の手の一本が飛来したと伝わる説です。御住職によると、大晦日に橙を二つお供えし、一つを持ち帰り手に塗ると、ロクロや絵描きの技が上達するという言い伝えがあり、今も参詣する職人さんが絶えないということです。いずれにせよ、伝説の技を大切に思う職人の町ならではの信仰が現在も生き続けています。」 |