黄牛の滝

2016.03.05


竹田市刈小野-上坂田

稲葉川





黄牛(あめうし)の滝
「竹田市は豊かな清流に恵まれ、素惰らしい滝が随所にあり、その一つに『黄牛の滝』があります。黄牛とは飴色をした牛。肥後(熊本県)で多く見かけます。国道442沿いの城原神社から二キロ程入り込むと駐車場。その近くから石段を下り、岩肌の上を歩くこと三百米、稲葉川上流域の滝つぼに到着します。滝の高さは約二十五米で、幅は狭く滝の渕は水が深く青々としています。
 言い伝えによると、『この滝には昔、龍が住んでいて村人や家畜に危害を与えていたと言います。ある夜、一人の僧侶がこの滝を訪れ、子牛の首を滝つぼに投げ込み、これを犠牲(いけにえ)として龍の禍を鎮めた』といわれます。今では、滝のすぐ上の田圃のふちに、古い石塔が祀(まつ)られていて、この石塔には『長享三年巳酉八月二四日、向上庵文芳芸公』と刻まれています。(長享三年は一四八九年で室町時代)おそらく伝説の人物と思われます。
 今は、滝を見る道も取りつけられ、きれいなトイレも設置されています。ここに至る前は、滝つぼに行く道はなく、丸橋を人畜が渡る途中落ち、助からないので滝には『近づくな』と古老の言い伝えが残っています。
 魚釣りに行く人もめったになく、両岸は絶壁で、うっそうと茂る樹木で昼なお暗く、そして、すさまじい滝の音、滝つぼの不気味な深さなど異様な雰囲気で、身の毛がよだつ場所として人々を寄せ付けませんでした。
 平成三年、滝周辺を開発しようと地区民が立ち上がり、『滝の会』を結成。菊屋奈良義氏や当時の竹田土木事務所長の井上芳明氏らの指導で村おこしが始まりました。代々自治会長が会長に就任し活動を展開しています。市か五千万円の補助を戴き、滝つぼまでの遊歩道の整備が進められました。そして滝公園を造成し、滝観光の便宜を図っています。
 五月には鯉のぼりが川の上を泳ぎ、八月には滝周辺の田圃に小松明(こだい)の灯がともり、幻想的な世界をかもし出します。また、近年滝の上流二百米の場所には『出会いの湯』という温泉も開発され、多くの人々が利用するようになりました。」

平成二十年八月
竹田市上坂田自治会
(資料提供・竹田の歴史と文化を考える会)
駐車場から約350mと書いてありましたので、初めてやって来ました

稲葉川を上流へ向かいます

切り立った断崖

目指す黄牛の滝

轟音をたてて流れ落ちています