長昌寺五輪塔
2005.11.03

佐伯市宇目大字重岡

長昌寺所有
市指定有形文化財




長昌寺五輪塔
「材質は凝灰岩が用いられ、小振ながら端正で、水輪には金剛界四方仏の種子である梵字のキリークがある。特に火輪は軒口が厚く重厚さを増し、室町時代前期の作風らしく重量感がある。
 五輪塔は密教において創始した塔形であり、密教において胎蔵大日如来の三昧耶形とされているもので、後に各宗派を通じて用いられる塔形となった。五輪はその各部が集まって一つの意義を有するものであって、他の塔にみるような塔身をもって仏の奉安所とし、これに基礎や屋根を設けたのとは、その趣を異にしている。
 密教では、水輪の円、地輪の方は本体で実在界の形であり、宝珠形の空輪、半月形の風輪、三角形の火輪は変体、すなわち現象界であり、常住不変の実在界の上に変幻極まりない現象界を配したものである。そして現象界の三輪は、実在界の分離結合である。つまり、方形の半分の三角が火輪であり、円形の半分の半月が風輪であり、その上に両者の結合形である空輪をのせたものであるから、現象すなわち実在であり、大日如来の三昧耶形であると説いている。」