豊藤宝光庵血盆塔
「凝灰岩で造られた高さ115pの血盆塔の塔身は、極めて特異な形をしている。その前にある水盤と一体のものである。造立年代は江戸末期のものと思われる。
血盆塔とは、血盆経または女人血盆経から出た名称で、地蔵本須経の中に、『飲血地獄是也』とあるように、女性の血の道の供養のために造立されたものと思われる。それが転じて女性特有の病気快復祈や安産祈願の対象として信仰されるようになった。
特に出産前の母乳をこの水盆に授けることによって、安産や生まれてくる子供の成長を祈願した。また母乳のあまった人は、その母乳をすてるのではなく、この水盆に授けることで、子供の益々の成長を祈願したものである。
この血盆塔は本町にここだけしかなく、極めて珍しいものである。」
宇目町教育委員会 |