河尻補陀羅院延命地蔵
「地蔵は立像、座像と本町に数多くあるが、2mをこす立像は長昌寺、大師庵とこの補陀羅院しかない。それだけに貴重である。もともとこの地は長徳寺があったところで、そのためか石造物も多く、信仰のメッカであったことをうかがわせる。
文政13年に造立されたこの延命地蔵は、寺の境内にあるところから、六地蔵と同じ意味をもつ人間界における種々の罪過を教化するために造立されている。
仏教の上では、人間がこの世を終えてあの世に旅立つと、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道の世界のうちどこかに住まなければならないとされている。すなわち、修羅・人間・天上の三道はこの世に生きていた時善行を積んだ者が生き、そして地獄・餓鬼・畜生を三悪道といって、在世で悪いことをすれば、来世はここちおちるという、その中で、現世的な幸福、功徳を与える観音と、病気を治す薬師如来と共に、過去に死去した人の罪過をも救済してくれると説いている地蔵信仰は、ことのほか庶民に受け入れられた。」
宇目町教育委員会 |