番の原の石塔

2020.10.17


佐伯市本匠大字小川 番の原




番の原の石塔
「番の原という地名からして、荘園時代にこの里に置かれた番人のいた場所かとも思われますが、観音庵の境内の一角に、非常に古い石塔が残されています。

宝塔
 高さは約1.9m、本匠村に残る三つの宝塔の中でも一番大きなものです。この塔の相輪(塔の上身)は少し高く、笠はあまり広がらず、軒端切り落としの角度は小さく、垂木の刻みもまことに丁寧です。とくに木造の寺院建築で美を見せる、三手先作りの角木を模しているのが、この塔の大きな特徴です。水瓶を象った水輪(塔の本体)には安定感があり、表に宝生如来を表す梵字が一字刻まれています。
 宝生如来は、釈迦が法華経を読むとき、塔となって地上に出現し、連れ立って中に迎え入れるといわれ、宝塔の名もここから来ています。
 この塔の輪郭をなす線は一見シンプルに感じますが、全体として重厚で均整のとれたよい作品で、専門家の意見では堂ノ間の宝塔と同じく、平安時代末期の作といわれています。
 このように非常に大切な文化財ですが、相輪の中央に折損があり、また湿気のために風化の進んでいることが惜しまれてなりません。

一石五輪塔
 宝塔と並ぶ石塔の中に、一つの石に丸や角を五つ刻んだ供養塔があります。空・風・火・水・地を表す五輪塔を略したもので、これも室町時代以前の古塔と考えられ、数も少なく貴重な遺物といえます。」

本匠村教育委員会
観音庵と石塔

宝塔と一石五輪塔

観音庵