名塚板碑 県指定有形文化財
「この板碑は凝灰岩でできています。頭郡が山形にとがり、額部には種子『力』(地蔵)を彫リこんでいます。また、身部には二体の僧形を陽刻しており、向かって右側の像は、左手に宝珠、左手に錫杖を持ち、僧衣をつけた姿に現されています。向かって左側の像は、僧衣をつけ、両手を胸の前で合わせている合掌形の姿に表現されています。
この像を彫っている区画の上と下に銘文が刻まれており、上部には向かって右から左に『時宮童男』『親宗泉』『松童女』の文字が並列して刻まれています。下部には、向かって右から左に『建立比丘慶甲 敬白』『母妙悦 大工道林』『豈永正二天 乙丑 九月吉日』の文字が刻まれています。こうした銘文から推測するに亡くなった二児と母親と何らかの縁のあった人の供養のために、母砂悦が石工の道林に依頼してこの板碑を造らせ、永正二年(1505)九月に僧慶甲が建立したことがうかがえます。
この板碑は、製作年代を含め、二児の供養のために母親が製作を依頼したこと、さらに製作者である石工の名前を知ることができるという点においても大変貴重な文化財です。」
臼杵市教育委員会 |