大分県指定史跡
「薦神社は、別名大貞八幡とも呼ばれ、宇佐八幡宮の元宮であるとも伝えられる。史跡範囲は、内宮である5ヘクタール余の池と外宮の社殿からなる。池は、三角池(御澄池)と呼ばれ、池そのものが御神体である。三角池に自生する「真薦」を刈り取って、池の中の敷島で乾かし、宇佐八幡宮の御神体である「御枕」にしたという。社殿は、承和年間(834〜848)の草創と伝えられるが、三角池の築造はこれより古いといわれる。薦神社が祀る八幡神は、池の守り神でもあったといわれる。当時、大陸の技術を持つ渡来人によって各地の水利不便な台地に多くの溜池が造営されたという。三角池も、こうした溜池の一つであると考えられている。 三角池は、穏やかに起伏する洪積台地を利用して作られ、北東から南西へ手のひらを置いたような形をしており、手の先にあたる南西側には三つの澤がある。入江状の澤は浅く、ハスが密生し、マコモの群生地となっている。御神体でもある三角池では、池・植物・魚などが大切に扱われ、それゆえに貴重な水生群落、入江に群生するマコモ群落やハンノキ林などが残っている。薦神社の周囲は、かつて鬱蒼とした森であった。現在でも、社殿のある一帯は、コジイ=クロキ群集の常緑広葉樹林に覆われ、イチイガシ林、クスノキの巨樹とあわせて境内林をつくっている。 なお、三角池の植物と植物群落は、大分県指定天然記念物「三角池の水生・湿地群落」に指定されている。」 中津市教育委員会 |