大分県指定文化財
名勝 伝来寺庭園
「由緒ある寺と庭園
伝来寺は延元三年、源氏の末流長谷部信雄が大智禅師を迎えて開基したものであり、当時は曹洞宗に属したが慶長九年浄土真宗に帰し、現在に至った古刹である。
庭園は建久四年、富士の巻狩に先だって阿蘇の大宮司に巻狩の故事を尋ねた梶原景季、仁田四郎らが、この地に隠れ住んでいた源氏を訪れた際の築庭という。
庭園の特徴をなす石組み
庭園の特徴は雄渾な石組みである。
石組みの手法からみて、それを日本庭園史上周知の同類型の作例と比較してみても、近畿、または北陸方面に残る地方武将の居館の庭と類似しており、随処に見られる雄渾な石組みは、この庭園のもつ顕著な特徴である。
四季を映し、雅趣ゆたかな庭園
寺伝によれば鎌倉初期の作庭という。
池庭は本堂南側の山麓より湧きでる豊かな清水を湛え、その池に臨む南側斜面に上下二段の平坦地が造成され、その一帯に枯山水的石組みが配されている。特に東の本堂寄りの二個の立石と、西寄りの枯瀧風の石組みは力強く特色がある。
この古庭園の風致は、緑陰よし、雪よし、花よし、紅葉よし、雨よし、四季それぞれに得がたい趣きがある。」 |