菅尾石仏
国指定重要文化財 国指定史跡
「JR菅尾駅から北へ2Kmの宇対瀬地区には、約3万年前阿蘇山の噴火によってできた凝灰岩壁がある。この岩壁に五体の石仏が西面して彫刻されている。向かって右から ・多聞天 1.98m ・十一面観音 1.84m ・阿弥陀如来 1.78m ・薬師如来 1.74m ・千手観音 1.91m である。多聞天以外の四尊像は、方形の座の上に坐し端正で慈悲深い表情をたたえている。平安時代後期の作と推定されている。多聞天は、仏世界の北方を守る神で刀をもち宝塔を左手に載せている。 十一面観音は衆生の苦を転じ、仏果を与える菩薩といわれ頭上に十一の仏面をいだいている。阿弥陀如来は極楽世界に佳する仏でこの名号を唱える衆生は浄土に往生すると説かれて。薬師如来は衆生の病苦や悩みを救うと信じられ左手の掌の上に薬壷を載せている。 千手観音は千手千眼観音とも呼ばれ、千手千眼で衆生の苦難や願いを見とおし救済成就すると伝えられる菩薩。密教では除災・招福・子育てを祈願するといわれる。おそらくこうした信仰に基づく人びとの祈りが、千年という長い間、各尊像にささげられて来たことであろう。
この磨崖仏は、昔から岩権現と呼ばれており紀州熊野権現を勧請したという説がある。」
三重町文化財保護委員会 |