普光寺と磨崖仏
「鎌倉時代におこったとされる普光寺は普光山筑紫尾寺と呼ばれていました。しかし江戸時代初期に筑紫尾が畜生に聞こえるので、筑紫尾を山号として普光寺と名前が改められました。この寺には巨大な磨崖仏があります。像高は8mとも12mとも言われ、全国でも最大級の磨崖仏です。およそ800年前に作られたとされており、中央の巨大な仏像が不動明王、その両脇、向かって右に矜褐羅童子、左に制多迦童子があります。不動明王とは憤怒の相、つまり怒った顔をしているものですが、この磨崖仏は長年風雨にさらされ丸く優しい表情になっていて、大きな磨崖仏ですがとても親しみのもてる姿となっています。」
磨崖仏が作られた岩壁
「豊後大野ジオパークには9万年前阿蘇山がおこした大火砕流が固まったもの、阿蘇−4溶結凝灰岩を多く見ることができ、たくさんの磨崖仏がそこに刻まれています。阿蘇山は、この9万年より以前にも大きな噴火を繰り返しており、およそ12万年前にも大噴火をおこしました。その時も大規模な火砕流をおこし、周囲を覆い尽くして冷えて固まりました。その固まった岩が阿蘇−3溶結凝灰岩と呼ばれています。普光寺の阿蘇-3溶結凝灰岩は、溶結(固まり方)が弱くもろい性質を持っています。不動明王のお顔が優しいのも、この影響があるのかもしれません。」 |