住吉神社
「田野町は、周囲を鰐塚山系に囲まれ、その地形から山の産物の恩恵を受けるために各所に山の神様が祭られている。そんな中、ただ一つだけ海の神様が祭られているのが船ヶ山の住吉神社である。
この神社のご神体は、清武町の今泉神社末社から移され、現在地に祭られたと言われている。神社の屋形には、12の棟礼が納められており、社屋は船ヶ山斟吉氏、鮫島垂□氏二名の宮大工により、明治9年12月16日(旧暦)に建立されたようである。
棟礼によれば1688年、1781年、1830年と幾度か改築され今日に至っている。船ヶ山地区には、積み荷を勘定するために勘場と言われたものがあり、現在でも勘場の名は隣の今村地区に伝えられている。船ヶ山地区はかつて岡川の船着き場であったことから、海の神様が祭られているものと思われる。
ここには銅製で直角式中縁の松樹双鶴鏡という古鏡がある。直径は12・4センチメートル、重さ580グラムで、文様は木きく枝を張った桧の大樹の下に、二羽の鶴が立ち、波におしどりが浮かんでいる。亀形鈕の上に紋章があり、下に天下一某と鏡師銘が鋳造されている。おそらく江戸時代の作とみられる。
船ヶ山地区では、毎年旧暦12月16日の巳の日にお祭りをしている。」
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