田の神様(たのかんさま)
「田の神様は、鹿児島県の大隅・薩摩地方と旧薩摩藩に属した宮崎県の一部(諸県地方)に分布する特有なものである。
この田の神様が田野町内では唯一、野崎地区に存在する。同地区は昭和23年までは高岡村(当時)に属し、旧島津領であったことに由来する。ここでは『たのかんさま』と言うが、前記の地方では『たのかんさあ』と呼ばれる。
田の神様は、農民と共に稲の成育を守り豊作をもたらす農業の神様として、300年以上の昔から親しまれてきたものである。全国的にも田の神の信仰はあるようであるが、石に刻んだ神像は上記地域だけに見られる独自の文化といわれる。
稲ワラで作ったシキをかぶり、右手にしゃもじ、左手にお碗を持ったユーモラスな農民型をはじめ、衣冠束帯を着けたような神官型、自然石を使った型、地蔵型など形もいろいろあるようであるが、この野崎地区のものは地蔵混合型に属する。
制作者は内野源太郎で大正4年頃の作と言われている。」
田野町 歴史の小径 |