旧山本猪平家

2011.02.05

日南市飫肥5丁目




旧山本猪平家 市指定文化財
「この建物は、飫肥の豪商であった山本猪平が明治四〇年(1907)頃に建築した商家の本宅である。敷地面積約一千一百平方メートルの中に、主屋、離れ屋、台所、便所等がほぼ建築当時のまま保存されており、飫肥本町の商人本宅を現代に伝える遺構として貴重である。
 屋敷地は大手門通りに面して高い塀と門を構えている。門の南側は部屋と収納庫となっており、主屋と奥座敷、離れ、台所、浴室、便所とが庭を囲むように有機的につながり、当時の町家の配置をよく残している。このうち主屋は入口に格子戸を設けて、数寄屋風の天井を持つ通り土間を通って玄関に至る。通り土間の両側には収納庫を設けている。
 主屋は、座敷の十畳に次の間の十畳が並び、その奥が居住の揚となっている。奥座敷は、昭和二年(1927)に山本猪平が隠居したのに伴い、昭和四年(1929)に増築された。
 本来奥座敷便所の東隣は隠居の出入ロになっていたとみられる。また、屋敷地内の通路や床下土間に陶磁器のタイルを使用しており、当時の流行の一端を知ることができる。
 なお、この屋敷地の南半分はもともと町役人であった小村寿太郎の父・小村寛の屋敷地であった。小村寛が飫肥商社事件で没落したために、山本猪平が買収してこの建物を建てたのである。山本家には、『この建物は小村寿太郎が鉄肥に帰って来た時のために建てた』という言い伝えが残されている。
 この建物は昭和五十二年(1977)の伝統的建造物群保存地区の選定時に保存物件として指定されていたが、平成九年(1997)に空家となったため、市で公有化して修理した。修理に際しては建築当初に戻すことを原則としたが、一部耐震強度の確保のため、壁を新設している。」
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主屋

内部

台所

浴室

便所

中庭から