矢筈岳と比叡山


矢筈岳(666m)
「東西に屹立する比叡山、丹助岳に見守られやや控えめにそびえ立つ二つの岩峰。綱の瀬川床から、高度差約400mの断崖絶壁が山頂部まで続きます。山体は花崗斑岩からなり、むき出しの岩壁に這いつくばるマツ・ハゼ・カエデ類・ヤマツツジなどの彩りは、四季ごとに風情を演出します。また、この山は西南の役の激戦地であり、明治10(1877)年7月4日から約40日間にわたって、丹助岳からこの山に連なる稜線に陣地を築いた西郷軍と官軍の攻防が繰り広げられた古戦場でもあります。
山名は、くぼんだ鞍部を挟む東西二峰の姿が、矢端の弓弦を掛ける所に似ていることにちなんでいます。」


比叡山
(918m)
「花崗岩からなるこの山は、前峰・本峰・後峰の3つの岩峰をもち、全国から訪れるロッククライマーがフリークライミングなどを楽しみます。矢筈岳との間は、網の瀬川が深い渓谷を形成しており、これは、流路をとっていた綱の瀬川が、岩脈の隆起運動に対して浸食作用を営んだ結果であり、地質学的にも珍しい地形で『ウオーターギャップ』と呼ばれています。つまり、かつて同じ母体であった矢筈岳は綱の瀬川の魔力によって分かれたのです。ちなみに、ヒエイとは『稗(ひえ)』のことで、この山麓は早くから開拓され稗畑をつくって耕作に励んだことを表しています。」
左:矢筈岳 日之影町     右:比叡山 北方町

矢筈岳

北側の林道から
右:矢筈岳 左:比叡山
以上 2005.04.17撮影