岡本家住宅 国登録文化財
「江戸期の細川藩配下の在郷武士の屋敷。天保11年(1840)に建築された、在郷御家人の住宅として今に伝えられています。
岡本家は、天保年間(1830〜1844)には御留守居、中小姓格で、典型的知行取在郷御家人。屋敷は、在郷武士の形式ですが、土間や台所に農家としての古い形を残しています。江戸時代、住宅の建築について様々な規制があり、中でも最も重要なのは『建物の梁間が三間梁以下にしなければならない』ことでした。
しかし、この住宅の母屋は、北に開いた『コ』の字形で、北側に並行する座敷棟(西側)と奥部屋棟(東側)が三間梁となっている一方で、南側では、大きな屋根が架けられました。
その構造から、次第に『三間梁以下』の規制が守られなくなってきた状況が推測できます。ここには当時、動揺する幕藩体制の中で成長する在地勢力の姿をかいま見ることができます。
岡本家住宅は、増改築などもなく創建当時をよく表していると同時に、保存状態も良好な貴重な文化財であり、江戸後期の建築様式の変遷とそれを取巻く社会の変化を考える上での重要な数少ない史料です。
屋敷の正面には、四脚門が立ち、家格を物語っています。
敷地内には、馬屋をもつ穀物倉と道具倉の2棟があり、家格に合わせた敷地面積が創建時からそのままというのも貴重なことです。」 |