天水(あまみず)氏庭園 国指定文化財
「この庭園は、江戸時代中期に造られた築山枯山水の庭園で、作庭型式は風景式の三尊石組枯滝石組式、庭諏は築山枯山水・借景法で、面積120uである。
作庭者は、この庭園の元所有者村原氏の祖先と推定されている。
作庭の手法は、自然の大岩盤の上に、貝蝕された海石を築山状に石組(当地方の特徴的な様式でもある)し、それにサツキ・ツツジ・ハクチョウゲ・クチナシ・モミジ等の小灌木を配植し、地被植物としてハラン・ツワブキ・ヤブラン・シダ類等を下草にあしらっている。また植栽生垣の背景には志布志内城を借景として展望するこ
とができる。
築山中央正面の最高部に立てた巨石は枯滝石を象徴して庭園意匠の中核をなし、その背景の常緑広葉樹(ツバキ・アラカシ・サザンカ等)は刈込物として遠山を表象している。
枯滝石の南面には、脇侍石・水分石・鯉魚石等の役石が配せられ、三尊石組枯滝石組の型式をとっている。
築山の裾中央には大ぶりの富士山形の海石が立てられその近くには水盤的な水鉢が置かれている。さらにその左方には小さいながら洞窟石組が2箇所もつくられている。
築山と住家との間には飛び石が打たれているが、おそらく後からの添作物であり、築庭当初は砂を敷いて枯池を象徴したものであったと思われる。
住家の縁先には鮟鱇型或いは司馬温公型に近い手水鉢が自然石の台石3個の上に据えられている。これは縁側の内外両側から共用できるようになっており、内側からの景観としては、視点より著しく低い位置にあるのであまり目立たず、近景としての効果は薄い。しかし、その傍らに配したシュロチク・クチナシ(以前はツツジ)等の鉢請樹によって鉢前の景色を引き立て、また遠景と相俟って景観により深い奥行きを見せている。」
志布志市 |