行人岳
2018.02.17
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出水郡長島町鷹巣
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行人岳の山岳信仰
「行人岳は長島の山岳信仰・修験道の聖地です。修験道とは山に籠もって厳しい修行を行う日本古来の山岳信仰に仏教や神道などが融合し発展した宗教です。
山頂には蔵王権現や不動明王なとが祀られており、長島はもちろん島外からも参拝者が多く、厚い信仰を集めています。
現在の駐車場の辺りは山伏が修行をした場所で、山頂東側の絶壁は『のぞき』とよばれ、せり出した板の上で空中に身を乗り出す修行が行われた所と言い伝えられています。また、駐車場より少し下った所が坊主屋敷で、修行者が寝泊りした場所です。山の名称も修行を行う人がいることから、行人岳と呼ばれるようになりました。
さて、修験道の本尊は蔵王権現です。廟堂の中央に宝暦12年(1762年)に祀られた蔵王権現があります。蔵王権現はあらゆるものを司る王という意味があります。記録によると、毎年長島の村々より酒を造って持ち寄り、山伏の長友真乗院が祭りました。長友真乗院の墓は鷹巣に残っています。墓を調べるとその後も代々長友家が山伏として高い位についたことが分かります。
また、行人岳には不動明王も祀られています。不動明王は、右手に三鈷剣を持ち、魔を退散させ煩悩を断ち切り、左手には羂索を持ち、悪を縛り上げ煩悩から抜け出せない人々を救い出すといわれています。
不動明王は大日如来の化身といわれ、修験道においても深く信仰されており、民衆に人気が高い仏様です。
時代を経て明治になると、行人岳は山伏の修行の場としての役目を終えましたが、一方、不動明王への信仰が次第に高まり、行人岳信仰の中心となって今日に至っています。
現在の廟堂は、長島の守りとして鎮座する行人岳を後世に伝えるとともに長島の平和を願い、昭和45年(1970年)3月、各方面、数多くの信者の協力により落慶を見たものです。」
郷土史研究家山崎友喜
行人岳不動明王廟運営委員会(平成27年設置) |
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両側に一対の仁王像
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たくさんの人がツルの北帰行を見に見ています
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この方角がツル飛来地
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遥か彼方に米粒くらいにしか見えないツルが飛んで行きました
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西方向
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不動明王像
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蔵王権現 |
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蔵王権現像 長島町指定文化財
「この廟内中央の蔵王権現像は、宝暦12年(1762年)に祀られたもので、行人岳の修験道の本尊です。
薩摩藩における修験道の資料は少なく、歴史的に、また民間信仰の資料として価値が高いため有形民俗文化財として指定されています。
蔵王権現はインドを起源としない日本独自の仏で修験道の本尊です。究極不滅の真理を体現し、あらゆるものを司る王という意味があり、仏や菩薩などすべての力を包括しているといわれます。
さて、この蔵王権現像は江戸時代の記録によると、宝暦12年、第12代長島地頭吉利杢右衛門の時、みんなで相談して建立され、毎年9月9日長島の村々より酒を造って持参し、山伏の長友真乗院が祭ったのが始まりと記されています。長友真乗院の墓は今も鷹巣に残っています。
この蔵王権現像は、激しい憤怒の相で、怒髪は天を衝き、右手に三鈷杵を持ち左手は腰の辺りで印を結び、足は大地を力強く踏ん張り、その背後には火炎が燃え盛っています。長島の民衆を救済してきた力強いお姿です。」
長島町教育委員会(平成27年7月設置) |