徳留の虚空蔵菩薩像 鹿屋市指定有形民俗文化財
「虚空蔵菩薩とは、虚空、すなわち大空に果てがないように、無尽蔵の福徳と知恵を民に分け与える菩薩であるとされ 古来より、地蔵菩薩とともに民間信仰の厚い菩薩である。頭に五智の宝冠をいただき、右手に知恵を表す宝剣、左手に福・徳を示す宝珠をもって蓮華座に坐す。
徳留の虚空蔵菩薩像は、もとは、旧徳留公民館隣の墓地にあったが、昭和五十二年の道路改修に伴い、数軒の民家とともに現在地に移転した。
保存状態が良く、損傷は僅かで刻銘も鮮明である。八角形の塔身には、正面に『奉寄進』とあり、各面に『十一月十三日』、『徳留村徳蔵』、 『宝暦十年(1760)戊辰』『一銭 弐百文近村相中』『一同 二百文 砂田擢蔵』『一同 百文 右同次郎兵衛』と判読できる。
なお、首から上の部分は、一度切断されたような形跡が確認できるが、これは廃仏毀釈によって破壊された形跡である可能性がある。
虚空蔵菩薩像は、大隅半島では珍しく、大変責重なものであり、現在でも、地区の護り本尊として、長い間、地区住民の崇敬を集めている。」
平成十九年三月
鹿屋市教育委員会 |