田の神(蕨野) 昭和57年3月24日指定 鹿児島市有形民俗文化財
「田の神像は、鹿児島県本土と宮崎の一部にしかみられない貴重な民俗文化財です。
江戸時代中頃から稲の豊作を願って、用水路や田んぼのあぜに立てられたもので、“タノカンサァー”とよばれています。また、昔は、この“タノカンサァー”を囲んで宴を催す『田の神講』も盛んに行われていました。
この田の神は、頭にコシキ(蒸器と釜の間に敷く藁製品)をかぶり、右手に飯杓、左手に椀を持ち、袴をつけ、首から頭陀袋を下げています。いかにも村々を托鉢してまわる僧侶を思わせます。
台座には、『宝暦十二壬午十月吉日奉寄進庚申二才中』と文字が刻まれていますので、宝暦12(1762)年この蕨野村の青年たちが庚申供養のためにたてたことが分かります。
五ヶ別府町蕨野の田んぼのあぜに立っていたこの田の神像も、一帯が住宅地に変わったためにこの公園に移されました。」 |