西田の田の神 昭和57年3月24日指定 鹿児島市有形民俗文化財
「田の神像は、鹿児島県本土と、宮崎県の一部にしかみられない貴重な民俗文化財です。
江戸時代中頃から稲の豊作を願って、用水路や田んぼのあぜに建てられたもので“タノカンサアー”と呼ばれています。また、昔はこの“タノカンサアー”を囲んで宴を催す『田の神講』も盛んに行われていました。
この田の神は、自然石に像を浮き彫りにしたもので、頭にシキ(蒸器と釜の間に敷く藁製品)をかぶり、右手に飯杓、左手に椀を持ち、両足の膝をやや曲げ、腰をおとした姿は踊っているように見えます。
背面に『安永二年正月十六日奉供養庚申講 西田名二才中』と文字が刻まれていることから、この田の神は、安永2(1773)年に旧西田村の青年たちによって庚申供養のために建てられたことがわかります。
現在、この一帯は田んぼが宅地に変わり、ほとんど昔の面影は残っていません。」 |