昭和溶岩

2016.02.27

鹿児島市黒神町




昭和溶岩 なす術もなく溶岩の下敷き −じわじわと有村地区を蝕んだゾル状の黒い物体−
「音もなくじわじわ低地へ低地へと忍び寄るゾル状の黒い物体が、日々道路、畑、果樹園、松林などを浸食し、埋め尽くしていきます。住民は、そのうち自分達の地区まで埋められてしまうことを予知し、総動員で移転避難準備にとりかかりました。家の解体移転・家財運搬、宅地の造成、食料の確保などそれは大騒ぎでした。」
 −1946年(昭和21)3月、桜島の黒神、有村地区での出来事です。この時の爆発の規模はあまり大きくなかったのですが、溶岩の流出量は意外に多く、黒神地区
では海上2,000m、有村地区では1,000mまでにも達しました。
 住民の予想どおり溶岩は地区内に流れ込み、各宅地をなめるようにして、広大な有村の砂浜になだれ込みました。
 溶岩の流出は5月25日頃まで続き、黒神地区は全滅、有村地区はその大半を失いました。
 古老達も若者も、子供達もただただ消えゆく長く住みなれた故郷を、海辺を、唖然と見守るばかりでした。」
県道26号線沿いの展望台

展望台からの桜島