入来町中組の田の神 鹿児島県指定文化財
「田の神は稲を守り、豊穣をもたらす農耕神として全国的に祭などが行われていますが、石像を造るのは、旧薩摩藩領(現在の鹿児島県と宮崎県の一部)のみです。
田の神像は二千体以上あると言われ、様々な形をしています。ここ中組の田の神像は一石丸彫で両手が欠け、肩まで頭巾をかぶり、僧衣を着けた立像で、台座の正面に地蔵菩薩を意味する梵字「カ」が刻まれており、地蔵菩薩をかたどった田の神像であることがわかります。
台座の刻字から宝永八年(1711)の造立で、現在年代が判明している中では、霧島市横川町上ノ紫尾田の正保元年(1644)の田の神像、薩摩郡さつま町(旧鶴田町)紫尾の宝永二年(1705)の田の神像に次いで、三番目に古い田の神像と言われています。
もとは、ここから約三百メートル東方の小萩諏訪神社付近にありましたが、大正十五年(1926)五月開通の国鉄宮之城線工事中に、ここに遷座されました。」
薩摩川内市教育委員会 |