木造観音立像 市指定有形文化財
「この観音堂にある三体の観音像は、木造のものもので、それぞれ造られた時代が異なっています。右端のものは、平安時代の後期に造られた作品といわれています。像の高さは七〇センチメートルあり、頭には宝冠と呼ばれる冠をかぶっています。この観音像は、一本の木を二つに割り、前後を彫り上げた後、継ぎ合わせる一木寄木造りという手法で造られています。中央のものは、室町時代に造られた作品といわれ、像の高さは、五七センチメートルあります。右の像と比べると宝冠や袈裟の形も変化しています。左端のものは、江戸時代に造られた作品といわれ、像の高さは三一・五センチメートルあります。他の二体と比べると単純な造りですが、素朴さがあります。
三体の観音像は、廃仏毀釈の際、十町迫田にあった正平山光明寺に集められましたが、久保の青年有志が取り返しに行き、諸留吉右衛門が納屋のワラの中に隠して守ったものと伝えられています。」
指宿市教育委員会 |