東郷渋谷氏宝篋印塔 薩摩川内市指定文化財
「宝篋印塔は元来、宝篋印陀羅尼経を納めるものでしたが、鎌倉初期から石造化されるようになって、その多くは逆修塔(生前に建てておく供養塔)として用いられるようになりました。しかし、なかには巨大で納骨塔の目的で造られたものもあります。
東郷渋谷氏の石塔が非常に少ない現在、この地に東郷渋谷氏の紋章刻んだ石塔がなぜ存在するのか不明でありましたが、近年の研究・調査(寺尾文書)の結果次のように推定できます。
塔之原領主、初代地頭寺尾重経は家老西念に在家一宇を与て村子田の地(現在地)に住わせ、ここより東方およそ150メートルのところにある薬師堂(寺尾家菩提寺)の住職も司らせていたものと考えられます。
西念は東郷渋谷氏の一族(出身)であり、村子田の地に居住し、薬師堂の住職であったこと、墓碑(宝篋印塔)に東郷渋谷氏の紋章が刻まれ、東郷の方に向いて建てられていることなどからこの石塔は西念の供養塔ではないかといわれていわれています。」
平成21年3月薩摩川内市教育委員会 |