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赤メラ橋
2012.10.28

伊予市双海町上灘 大栄

径間:6.2m
橋幅:1.66m
拱矢:1.2m
斜橋
架設:昭和32年




徳田さんの証言
「昔は木橋で、80pもある2本桁で架けられていた。上流のよどみのところの岩が水に濡れると赤くなることから、赤ナメラと呼んでいる。
 木橋が架けられる前は、赤ナメラの右岸側に木が渡されて、そこを渡っていた。この橋の名前はないが、通称『赤メラ橋』と呼ばれている
 鉄筋を1本入れた長方形のコンクリートブロックを製作、木の型枠を組み、両側から少しづつずらしてブロックを積み上げ、その上に栗石等を詰めた。
 施工者は右岸上流側に居を構えていた大上(おおかみ)秀夫さん。大上さんは石造アーチ構造の強さを知っていた。右岸側の15軒は労力奉仕、左岸側の家に寄付を募った。
 寄附者名を書いた板は、最初左岸側入口に取り付けられていたが、スレートに葺き替えたのを機に、右岸側に移された。現在では墨の痕跡は認められるが、文字は殆ど読めない。」
 今回のメインは何といってもこの橋
 以志橋福助さんからの情報で、県道222号線上灘から入り、通り過ぎて翠小学校周辺を探していましたが見つからず、また引き返すと道路から見えました

下流側

右岸側

左岸側

拱頂部

上流左岸側

左岸側から

右岸側から

施工に携わった徳田さんから詳しく聞かせて頂きました

徳田さんから教えて頂いて右岸上流側の草を払うと、架設年と施工者の墨書が見えました

下流側に堰堤が出来て水深が浅くなっているが、昔はもっと深かった

 上流右手の岩は水に濡れると赤く変色することから「赤ナメラ」と呼ばれており、木橋ができる前はこの岩から右岸側に板を架けて渡っていた。

橋を右岸側に渡ったところ、家の壁に横に打ちつけてある板には寄付者の名前が書かれていた

現在ではほとんど読むことができない
 この辺りでは緑泥片岩が多く、石橋に適さないため、大上さんは鉄筋入りのコンクリートブロックを何本も作り、それを並べてアーチ橋とした。
 もし適当な石材が入手できたなら迷うことなく大上さんはそれを使い石造アーチ橋としたことでしょう。
 石造アーチ橋の強さを大上さんがどこで学んだかは不明ですが、この橋の由来を知る人は今となっては少なく、徳田さんの証言は貴重なものです。
 この寄附者名を書いた板を含めて後世に語り継いで頂きたいものです。

 私個人としては、アーチ橋は施工法を重要視しますので、この橋も石造アーチ橋として分類します。