薬師院本堂 岡山県指定重要文化財
「薬師院は、真言宗善通寺派に属し、瑠璃山薬師院泰立寺といいます。寺伝によると、寛和年中(985年頃)の花山法皇のときに創建されたといわれています。元々は別のところに建てられていましたが、火災によりこの地に移り、伽藍が整備されたのは正保年間(1644〜1648年頃)といわれています。
本堂は、三間×三間の単層、入母屋造、屋根は本瓦葺で、正面一間に向拝をもつ形式となつています。軒は二重の繁垂木で蛇腹支輪を設け、柱は来迎柱を除いてすべて面取りして桝、組物は禅宗様の一手先を詰組としています。正面には五段の階段をおいて、登高欄をつけ、四面に擬宝珠高欄付きの縁を巡らしています。正面中央の間には牡丹の彫刻を入れた蟇股を飾り、その下に上部を菱格子の透かし、下部には入小板の上に模様を彫刻した両開桟唐戸を設けています。本堂の建築は、棟札によると元和10年(1624年)とあり、江戸時代初頭の建築ですが、雄大豪華な桃山時代の建築様式を随所にうかがうことができます。」
昭和34年3月27日指定 岡山県教育委員会・高梁市教育委員会
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