福田寺(ふくでんじ)
「天台宗の寺院で、毘沙門天を本尊とする鎌倉時代後期の嘉暦年間(1326〜29)比叡山の僧静範僧正が開基し、本尊聖観音像を安置した。室町時代後期の天文年間(1532〜55)火災によって全焼したが、永禄三年(1560)宇喜多直家が沼の亀山城主になった翌年現在の地に再興し、毘沙門天の木像を安置して城の丑寅の守護仏として信仰したと伝えられている。現在の本尊がこれである。
この寺はほかに古色を帯びた等身大の阿弥陀如来の木像を安置し、また天正七年十一月二日備州十谷村奥林坊日盛銘の経机を所蔵している。
なお、表門は総欅造りのきれいな薬医門で十九世紀初頭の建立と思われる。本堂はやや大型の三間堂で全体にがっちりときれいにまとまっている。十八世紀中期の建立でこれに携わった棟梁は経験豊富な大工であったと思われる。」 |