旧足守藩侍屋敷遺構
「この遺構は、江戸時代中期ごろの武家屋敷で、長屋門、母屋、御成門、内蔵、土蔵などがそろい、ほぼ完全な形態で残っており、県下唯一の貴重なものである。
この邸は、足守藩木下家二万五千石の家老職のもので、長屋門を入ると、正面に長大な母屋が東北に面してたち、裏手に離れて内蔵と湯殿があり、母屋の南に土蔵がある。
母屋は寄棟造、茅葺、総廂の平屋建である。正面に唐破風をもった威厳のある玄関があり、式台をあがると、上床つきの八畳、右に折れて十三畳(二の間)の玄関、その上手に八畳(一の間)の座敷がある。これだけが表向き(公式用)の書院に属し、一の間には床と付書院を設け、付書院には花頭窓を開く。二の間との境に珍しい香図組欄間を入れ、天井はすべて竿縁天井、外側に縁をめぐらした質素なうちに格式のある礼儀正しい構造である。
私生活に使う奥向きには、六畳の間、三畳、二畳、七.五畳の間は当主の居間で、二畳(仏間)は武士の家には必ず設けた一室である。
書院の前には遠州流と伝えられる庭があり、御成門は藩主の来邸のとき使用した。長屋門には右手に茶室、左手に中間部屋がつくられている。」
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