田原用水水路橋「石の懸樋」
「田原用水水路橋“石の懸樋”は、田原用水と小野田川が交差する場所に作られました。小野田川の川底が田原用水の底よりも低いため、小野田川の上に田原用水が流れるような水の立体交差点ともいえる“水路橋”が必要となりました。
この“石の懸樋”は、岡山藩郡代津田永忠が招いた大坂の石工・河内屋治兵衛らを中心に、1696年(元禄9)頃完成させたものです。巧みに加工した花崗岩製の石材を縦横に組み上げて作られており、その構造と技法は高く評価されています。
水路橋部分の大きさは、長さ13m、幅3.2mを測り、国内では最大規模の石造水路橋です。
1982年(昭和57)に行われた小野田川改修工事に伴い“石の懸樋”は解体されましたが、後世までその土木技術を伝えるため、この徳富の地に移築、復元保存を行いました。
漏水や崩壊防止のため、石材は溝を削ってはめ込み、樋の側壁には上下に穴を開け、角材を差し込んで固定しています。川床には柱材と板材を敷き、地盤を安定させて礎石を置いています。
石材の接合には、焼き砕いた貝殻(石灰)を松脂でねり合わせたと考えられる特殊な漆喰を用いていました。」 |