山川の歴史的人物及び史跡
いっちょ願い地蔵
「今は昔、このあたりの山々は、うっ蒼と大きな木々が生い茂り、昼でも暗い山奥であった。
あるとき、その山中を旅人が道に迷い途方にくれ困り果てていた。そこで、日頃から信心しているお地蔵様への祈りの言葉『オン カカカ ビサンマエイ ソワカ』と、一心に祈り続けると、不思議なことに天より一条の光が差し込み、祈る旅人の足元を照らし、いかにも旅人を導くように光は動き出した。
そこで旅人は、その光を追うようについて行くと、自分の行き先であった里に無事たどり着くことが出来たという。
元来お地蔵様は地蔵菩薩といい、仏陀の次に位し里人や旅人の安全を守り、人々の願い事を聞き届け、また苦しんでいる人々がいればそれを救うという有難い菩薩様である。その山奥の里にも、そのお地蔵様が里の守り神として鎮座されており、その旅人の話を聞いた里人たちは、その旅人の難儀を救って頂いたのはこのお地蔵様に違いないと思った。その後、『迷ったときの道明け地蔵様』として、また一つのことを一心にお祈りするとその願いごとを叶えて頂く有難い『いっちょ願いのお地蔵様』として、その里だけでなく近郷近在より参詣出者が訪れるようになった。善哉・善哉」 |