旧古河鉱業若松ビル
「この建物は、筑豊地方における石炭事業の展開のために古川鉱業が若松に進出し、若松視点のオフィスビルとして大正8年(1919)に建設された。
構造は煉瓦造2階建で、デザイン的には明治期から昭和初期に移行する大正期の特徴をよく残し、細部で古典建築の装飾を用いながら、抽象化して全体が扱われている。道路の交差した南西隅にある円形の塔屋がデザインの要になっている。
また、内部では大正期のオフィスの様子が窺え、特に1階の営業室(現・多目的ホール)や2階の会議室、さらに階段からは現代建築に欠けている一種のステイタスが強く感じられる。
華やかで堂々とした外観は、石炭積出港としての若松の繁栄をしのばせ、バンド(港湾都市に形成された帯状の海岸通り)の景観形成にも重要な役割を果たしている。」 |