高木神社と宮座行事
「黒川には正慶2(1333)年に彦山座主(彦山の指導者)の居館がつくられ、座主はこの黒川村から彦山荘園領主として彦山(現英彦山)を支配していた。
この高木神社は、彦山を鎮護するために神領内に建立された大行事社の一つであり彦山麓七大行事社の一つといわれている。
毎年10月29日に当神社で行われる宮座行事(黒川くんち)は、きわめて古い様相を残していることから、近隣の宝珠山村福井神社に伝わる祭礼とあわせ、福岡県無形民俗文化財に指定されている。
宮座行事は、現在黒川の各集落が順番に座元を引き受け行われている特定のイエ筋の世襲制によるものだったと考えられている。
宮座の特徴としては、中心となるのが御当(ミトウ)と呼ばれる子供であること、行事の中に御ホシによる穀霊つなぎがみられることである。
その年にとれた新米を土器に入れて本箱に収め、事苟 (ワラット)に包みこんだ穀霊(御ホシ)を受方の座元地区で作り、地区守護神を祀る社の神木の樹上に安置して一年間保存し、翌年の宮座の前に、新しく収穫した米に混ぜて御供を調整する。収穫祭の御供から御供への循環という形で穀霊つなぎが行われている。
準備段階から、宮座、座元譲り渡しまでの一連の行事には共同体の結束が見られ、中世以来の貴重な集落祭祀の伝統が維持されている。」 |